第9回日本ラブストーリー大賞 1次選考あと一歩の作品(3)

『婚活』/数見 龍一郎 

 あらすじ&コメント

資産家令嬢か女性医師との結婚を目指し、結婚相談所「愛の園」に入会した信也。1年半の活動で25人とお見合いし、3人の女性医師を含む7人と交際したが、いづれも結婚成立には至らない。条件だけでは結婚は成立しないことを痛感した信也が最後に選んだ相手とは……。

女性の婚活ストーリーはよくあるのですが、男性の婚活、それも結婚相談所を通じての相手探しという題材は珍しく、しかも男性側の心情がリアルに詳細に描かれていて非常に興味深い作品でした。男性はこういうことを重視するのか、こういうことを考えて相手に返信を出すのか、など、婚活してうまくいかない女性にとっては必読の小説かもしれません。惜しむべくは、最後に選んだ相手に意外性がなかったこと。主人公の成長や心の変化をストーリーに盛り込むことができたなら、もっといい作品になったと思います。一見理屈っぽいような文体も、読んでいるうちに味わい深く感じられ、いつの間にかひきこまれていたので、その独特のセンスを生かして、ユーモア人情小説などにも挑戦されるといいかもしれません。

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